「杏、お前…。泣いた?」
どきっ
な、なんでバレたの?
それに杏って言葉にいちいち反応しないでよ、私の心臓。
「な、なんで…?」
「ん、いや。目赤いから。」
そう言って私に触れようとした。
正直凜くんに触れられたらなにかが変わりそうで怖い。
でも乗り越えなきゃ…!
そう思っても体は言う事を聞かない。
「杏寿ってば昨日のドラマ見て号泣。1時間泣きっぱなしらしいよ?」
「…え?」
藍の言葉に凜くんの手がギリギリで止まる。
「あー…なんかやってたな、昨日。お前あんなので泣けたのか?」
「え、う、うん。そ、そうなの!」
「それで目が赤いのか。だっせ。」
触れかけた凜くんの手は私のおでこにデコピンとしてやってきた。
「いたっ。」
おでこを抑え凜くんの顔を見ると笑っていた。
すごく優しい笑顔で 。

