「…れは……が…きや…ら」


まわりの雑音のためにハッキリとは聞こえなかったが、確かに聞こえた。


『俺は知恵が好きやから』




「3年経ったら帰ってくる。その時にまた会おうな」

「うん…約束。待ってるから」


涙でまわりが霞んで見えなかったが、知恵の瞳にも同じように涙を流している浩之がいた。





何分たったか分からない。

ただ2人は、浩之が飛び立つ時間までそのフロアで肩を寄り添っていた。


知恵には30分、1時間、いや半日に感じたのだが、実際はそう長くはなかった。