「浩之!」

まるで生き別れの弟を、やっと発見した時のような声。


「知恵。なんでここに居るん?」

「なんでって……浩之がアメリカに行くって聞いたから。いつ帰ってくるん?」

「わからない。でも」バシッ「痛っ」


泣きそうな知恵を見た千尋が、浩之を叩いたのだ。


「あんた男やろ?女を泣かしたらあかん。もう一回ちゃんと告白してみたら?」

小声で浩之に言うが、知恵にはもはや小声も大声も関係ない。


「じゃああたしらは先に学校に戻っとくから」

そう言って千尋たちは空港をあとにした。