まるで誰かを必要としている子犬みたい。
捨てられて小さな段ボールの中で震えてるような。
ただ話を聞いてほしいだけかもしれない。
それでもなぜか必要とされているような気がしたから
私は頷くしかない。
「 俺さ、浮気されてるんだよ。 」
単刀直入に
現実を突き付けてきた彼。
目が少しうるんでいるようなそんな気がした。
「 じゃあ、別れればいいじゃない。 」
春先輩のこと、嫌いになってしまったなR
別れればいい。
たったそれだけのこと。
「 春のこと、まだ好きだから 」
「 なら今のままでいいじゃない。 」
どこか他人事のように聞こえるかもしれないけど、
私にはどうしようもできないこと。
むしろ、他人事なんだから。
「 ただ、春が、俺以外の奴見てるのがつらい 」
髪をくしゃっと握って
顔を伏せてしまう廉くん。
嫉妬 ... ?
ううん、嫉妬っていうわけでもないのかも。
廉くんは純粋に春先輩のことが大好きなんだ。
でも、春先輩の心が自分から離れそうになってる。
それでも廉くんはそのほどけそうな赤い糸を必死につなぎとめようとしているんだ。

