剣士side
「何やってんの。」
後ろから何だか怒りの込もった声。
振り返ると、岸谷野郎がいた。
「何やってんだ、って聞いてんだろがおいっ!」
胸元を掴まれる。
さすが、野球部の顧問というだけあって力だけは強い。
「なに立ち聞きしてんだよ」
「ふざけんな、それどころじゃねぇだろ?!」
いつもの穏やかさを感じさせない岸谷に、何も言えないでいた。
「そんなノロノロしてっから離れてくんだろ?美紅言ってたぞ、好きって思ってくれるのは先生だけだって。」
「すっげぇ哀しそうな顔でさ。俺、何も否定出来なかったよ」
「アンタ関係ねぇだろ」
美紅は岸谷にここまで心を許していたのか。
恋愛相談する仲か?
ってか、こいつ美紅に告りやがって。

