「さぁ、お話はこれくらいにして。
未来、挨拶はもう済んだのですか?」

未来を見上げながら微笑むお祖母さん。
来は背筋が震えたが、理由は考えないようにした。

「大丈夫ですっ。
お祖母様と一緒にいたかったから、先程済ませて参りました。」

「そう。」

未来が言うと、お祖母さんは元の優しい表情に戻り、嬉しそうな顔で笑っていた。

「お祖母様!
紹介が遅れてしまいましたが、こちらお兄様の後輩で私もお世話になっている来くんと那柚くんです。」

未来に突然紹介された来は、固まっている那柚を足で少し蹴り、那柚が我に返ったところで頭を下げ、挨拶をした。
本当は会釈と共に言葉を言うつもりだったが、未来の祖母が醸し出す雰囲気に、かなり緊張してしまった。

「お祖母様、2人が緊張してしまってます。」

そんな2人の様子を見て、未来は慌てた様子で祖母に訴える。
祖母は来と那柚を庇うようにする未来を見て、優しく微笑む。

「ふふ。
そんなに緊張しなくていいのですよ。
未来が兄と雛森以外の人を庇うなんて……いつぶりかしら。」

そんなことを言われた未来は、

「お祖母様!
それでは私が冷たい人間みたいではないですか。」

と少し頬を膨らませて言った。

「あら、本当のことでしょう?
何か間違ったことを言いましたか?」

この言葉に、未来は言い返すことが出来なかった。