未来は泣き崩れ、誰もが無言だった。
そんな中、時間だけは一分一秒と少しずつ進んでいた。

未来が落ち着いたのは、家に帰ってから一時間経過した18時半だった。
早いところはもう既に集まってきており、徐々ににぎやかになってきている。

「お嬢様……?
落ち着かれたのでしたら早急にお荷物を取りに伺わなければ、外出できなくなりますが?」

……………………Σ(Θ△Θ)ハッ!

湖都音の言葉に、未来は勢い良く顔を上げる。

「……出れなくなるって…、誰がどこから出れないの?」

可哀想に思える那柚の現実逃避。

「お祖母様がいらっしゃると、私もう外に出れないの。
そうなれば、那柚くん達も外出できなくなっちゃうから…。」

未来は制服の袖で自分の涙を拭いながら言った。
その表情はケロッとしていて、さっきの涙が嘘みたいに見えた。
なんとなく微笑んでる気もする。

「さぁ、行こぉ?
ご両親に挨拶したいなぁ」

『え゙。』

「?」

未来の最後の一言に、湖都音と来と那柚は目を大きく見開き反応した。

「お嬢様がそこまでなされなくても、私がしっかりご挨拶して参りますから。
お嬢様が伺うと、いろいろと長くなりそうですので、是非とも車の方でお待ち下さい。」

湖都音は一生懸命未来を説得する。