鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*

そう言って、李依菜は電話を切った。


































李依菜は黒百合学園に行く気などこれっぽっちもなかった。
自分が行っても未来は行くのをやめない。
それなら

「私は此処で待つのみ。」

それが今自分がすべきことだと思うから。
未来は絶対来る。
なんとなくそんな気がする。
なら、今自分がすべきことはもう一つ。

「私は未来を信じて待つ。」

未来は絶対に来る。
それだけでどんなことでも乗り越えられる。
どんなに苦しくて辛くても。

「お話中に申し訳ございませんでした。
游さん、もうお話は終わりましたよね?
これで未来には何もしないということで。」

李依菜は電話をするために廊下へ出ていたが、切ったため再び生徒会室に戻って未来の義母=游に謝り、未来が来るまでに帰そうと促す。

しかし、

「どうしてそこまであの子を守るの?
そんなにあの子に“価値”があるの?」

李依菜はその言葉に、少し小馬鹿にするかのような表情で答えた。

「“価値”なんてありませんわ、游さん。
未来は“価値”なんて言葉じゃ収まりきらない、素晴らしい“良さ”がありますから。」

そう、私たちにはない

良さ

がある。