鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*

「………李依菜の言う通りね。
私も一緒に行くわ。
未来は無理し過ぎるから見張ってなきゃ。」

杏華はクスクスと笑い、それにつられて未来も泣きながら小さく笑った。

カーテンの奥では、恭夜が誰かに電話をかけていた。

〔………はい。
恭夜さん……、何かご用ですか?〕

「なんで未来といないの。」

〔恭夜さん達が保健室で目覚めるまでは未来と一緒にいました。
だけど……目覚める前に呼ばれてしまって……。〕

どうやら相手は李依菜のようだった。

「今そこに誰かいんの?」

〔愛と恋がいますわ。〕

「今からこっちに来て。
神木姉妹も連れてさ。」

〔珍しいですね。
恭夜さん、いつも“黒百合学園には来るな”って言って、行かせてくれないのに……。
もしかして……、私がそちらに行けば未来は行かなくなるんじゃないか、なんて………考えてませんよね?〕

恭夜は考えてたことを当てられて内心焦ったが、なんとか李依菜に気付かれないように気を付ける。
けれど、李依菜は誤魔化されなかった。

〔……考えてたんですね。
残念ですが、私なんかでは未来は行くのをやめたりしませんわ。
それは一番恭夜さんが分かってると思ってたんですが……残念です。〕