いくら落ち着いていても、未来が瞼を開くとすぐにお兄ちゃんになった。
妹の心配をするお兄ちゃん。

「じゃ、ね……入学式に出席してほしぃ。
最後…なん、だから。」

それを聞いた恭夜は未来をすぐ黒百合学園の保健室に連れていき、ベッドに寝かせ養護教諭(黒百合学園には2人おり、そのうちの1人が朝の人)に未来を頼むと、すぐ戻り全生徒を連れて入学式に行った。
講堂(入学式)へ行く途中の廊下では、那柚の質問攻めだった。

「桐谷先輩……幾つか質問してもいいっすか?」

恭夜は涙目をぐいっと袖で拭き、はぁ、とため息を吐くと那柚の方に向いた。

「何。
賑やかで無神経、でも憎めない愛されキャラの那柚くん。」

「嫌味っすか?」

すると恭夜と秀麗は、お互いの顔を見て笑みをこぼした。

「ハハッ、違う違う。
恭夜は那柚のこと気に入ってんだよ。
お前ももうちょい言葉選べって。
未来にも毎日のように言われてんだろ?」

那柚と来は、“はぁ?” というような顔をしている。
それに気付いた秀麗は言葉を付け足す。

「恭夜ね、気に入った奴しか顔と名前覚えねぇの。
良かったね、気に入られて」