「……痛かったですか?
ごめんなさい………。」

未来はそう言いながら、そっと自分が叩いた李依菜の頬を撫でる。
未来の手が触れた瞬間、李依菜は灰化から一気に戻り、未来を抱き締めていた。

「ううん、私の方こそ……。
未来も色々あるのに、……ごめんなさい。」

李依菜は自分の頬を撫でている未来の手をとり、恭夜の手へと渡す。
そして、にっこりと満面の笑みで

「今日は未来の欠席を許します。
未来へのお詫びだから、あなた達のためではありません。
ただし、許すのは今日だけです。
未来の泣くようなことをしたその時は、


分かってますよね?


じゃあ、未来またね。」

と言って、李依菜は少し(いや、かなり)淋しそうに未来に別れを言うと、自分の学校へ帰っていった。
未来もどことなく淋しそうに、李依菜の去った廊下をずっと見ていた。

未来とは裏腹に、他の生徒は今にも死にそうな顔をしていた。
それは……

殺意のある言葉を聞いてしまったから。










――分かってますよね?――










あれは間違いなく、“泣かしたら殺す”と解釈しても、あながち間違いではないだろう。
実際、瞳がそう物語っていた。
未来には分からぬように。