そう言って電話は切れた。

その時……

「未来!!」

すごい形相で未来の名前を呼ぶ女子生徒。
全速力で走って来たのか、髪は所々はねてしまっている。
そして…………息切れが激しく、軽く呼吸困難みたいになっていた。

「李依菜様!」

未来が李依菜と名前を呼ぶと、李依菜は未来を抱き締めた。

「良かったぁ。
あなたにもしものことがあったらどうしようと思ったら、体が勝手に動き出して……。
私、未来がいなくなると駄目ですね。
つい我を忘れてしまうんですから。」

未来に向かって微笑む顔は、さっきの姿とは全くと言っていい程違った、優しい顔だった。

「李依菜様……。」

未来は李依菜を自分から少し離す。

「ん?
どぉしたの未来?」

自分から聞いたにも関わらず、李依菜はハッとすると未来の腕を引っ張って帰ろうとした。

「未来、帰りましょう?
こんな男性の方ばかりのところにいたって、未来の悪影響でしかないわ。」

「なっ
そんな言い方しなくてもっ……」

と来が言い返そうとした時、

――パチンッ

未来が李依菜を叩いた。
その音が廊下にも聞こえたのか、人が集まってくる。
また、噂が広まっていったのか、他学年の人達まで集まってきた。