~空斗~        
            「はぁ~」

教室につき、自分の席に座った俺はため息をつく。

いつもはガヤガヤと騒がしい教室も、今日は早いからまだ誰も来ていない。

…避けてしまった。…

「はぁ~」

本日二回目のため息。

「ため息つくと幸せ逃げるよ」

ふいに耳もとで誰かの息がかかる。

「優っ」

振り向いた先にいたのは優。

どうやら優が俺の耳に「ふー」と息を吹き掛けていたのだ。

「きもいっ」と拒絶する俺の横で優はニヤニヤ笑って口を開く。

「昨日はお盛んだった」

とんでもないこと言うな。こいつ。

って…

「は?」

「あれ君たち使ってないのコンドーム」

「あ」

何で知ってんだよ。と言おうとした俺に気付いたのか優は明らかにしまったという顔をした。

「な…なんでもないよ」

嘘をつくとき目をそらすのは昔からの優の癖だ。

「おいっ…」

とそこでさっきまで静かだった教室に少しずつ生徒が入ってきてきづけばざわざわといつも通りになっていた。

「そんなことより今日も紀伊と帰るから」

こいつ…付き合ってることばらして堂々になりやがった…。

優はなんかいまきたばかりの紀伊と未来に手を振っている。

未来はなぜか怒ってる。

朝のことか

…いや。未来が怒ってるのは明らかに紀伊に対して。

俺は頭に「?」をのせて、怒っている未来から視線をそらした。