「未来は覚えてないだろうけど」

そう言って空斗は頬を膨らませてうつむいた。

拗ねてるのかな?

そんなふいに空斗が可愛く思えて、私は「嘘。覚えてるよ」って笑った。

…忘れるわけないじゃん。

小さい頃、私は庭の木に登って足を滑らせて落ちたことがある。

空斗は「危ないよ」って言ってくれてたのに、私はいいところを見せようと意地になっていた。

膝からどんどん流れてくる真っ赤な血。

私は痛みとうまくできなかった悔しさで、わんわん泣いたんだ。

そしたら、空斗が私の頬に伝う涙を服の袖で拭いながら、

「俺、医者になるっ!そしたら、未来のケガだってすぐに治るよっ」

って言ってくれた。


忘れられるわけないじゃんー…

ぼーとしている私に、段々空斗の顔が迫ってきた。

気づいたら。

時、すでに遅し。

「っ///」

次の瞬間には優しく、包み込むようなキスが降ってきた。