んっと差し出した俺の小指に、未来の小指が絡まる。
その手は微かに震えていて。

俺が守るよ。何があっても。

「なあ、未来?」

「ん~?」

キーンコーンカーンコーン。

鳴り響くチャイムの音。

多分今のは四時間目の始業のチャイム。

俺と未来は、気づいていながらも気づいていないふりをした。

このまま、二人きりでいたいんだ。

「未来はさ…」

「うん?」

「俺が医者になろうとした理由、知ってる?」

「…ううん。なにそれ?知らない」

首をブンブンと横に振る未来。

「俺さ、未来を守ろうとしてたんだよ」

「昔、六歳のとき、未来木から落ちてケガしたじゃん」

「あぁー…うん、血がね、いっぱい出てたね」

未来はそう言って恥ずかしそうに顔を伏せた。

「あのとき、医者になって未来を守ろうって決めたんだ」

「ま、未来は覚えてないだろうけどね」

俺は半分ふてくされながら呟いた。

だって、未来は忘れられるほどたいした記憶じゃないってことだろ?