屋上まで全速力で走った俺。

多分、ボルトより速かったと思う。

そんなわけで。

息を整えている俺を、小さく目を見開いて見ている紀伊と未来。

…カッコ悪。

俺がそのまま扉の前に突っ立っていると、紀伊が小さく「邪魔」と言って出ていった。

ガチャリッ

ガチャリ?…まああえて何もつっこまないけど。

「空斗…?」

先に口を開いたのは未来。
この沈黙をどうにかしたかったんだろうな。

未来はそれから俺の前にピンクのラッピングで包んだなにかを差し出した。

「チョコ…なんだけどっあっんま、甘く…ない、はずっ!」

嘘、見え見え。