校庭に向かっておもいっきり叫びだす紀伊。

「渡す?」

う…

それが目的?脅すの?

なんかニヤッてしてるし。
「…でも、空斗チョコ苦手だもん」

毎年大量に持ち帰ってくる空斗のチョコは、いつも私が食べてたんだから。

「中身だけみてもらえればいいから」

中身だけ??

紀伊の言葉に疑問を感じながらも。

しぶしぶうなずく私。

と。

それとほぼ同時にバンッと屋上の扉が開いた。

私と紀伊の視線は一気にそっちへ。

「「空斗っ」君っ!」

扉の前に立っているのは、空斗。

走って来たのか、髪が乱れて息切れしている。

ぽかんと突っ立っている私に、紀伊はボソッと「ちゃんと渡してよ」と言って空斗のいる入り口に歩いていった。