「ねぇ、未来ぅ~」

青い空。

周りを見渡せば一面真っ青な空。

そう。ここは屋上だ。

「何?」

私は紀伊に警戒心丸出しの視線を向けた。

…紀伊が甘えた声を出すときは大抵なにかあるから。
…そんな私の予感は見事的中。

…してほしくなかったんだけど。

「ねぇ、空斗君にチョコ渡して来なよ」

「私持ってないし」

さらりと交わす私の言葉に、紀伊は不気味にふふんと笑って鞄の中をごそごそと探り始めた。