しんと静まり返る廊下に響く未来の足音。

帰ってたのか…。

と。

ふとピタリと部屋の前で足音が止まった。

「…?」

どうやら、未来が俺の部屋の前にいるらしい。

しばらくして、カチャッと未来が部屋に入ってきた音がした。

俺は壁の方を向いて目をつむった。

「空斗…、寝てる?」

ベッドのすぐ横に…

俺のすぐ真後ろに、未来がいる。

「…」

しまった。

起きるタイミングを完全に見失った。

「好き…っ、空斗っ」

それは、小さく…

だけどはっきり聞こえた未来の声。

低くも高くもない、ちょうどいい聞きなれた未来の声。

どうしても手にいれたくて、どうしても手に入らなかった愛しい愛しい、未来の声ー…

俺は呆然としながら、部屋を出ていく未来の足音を聞いていたー…