「ほらぁ、選んで選んで」
私が紀伊に連れてこられたのはデパートのチョコ売り場。

かわいいリボンでラッピングされたチョコがたくさん置いてある。

「…私、あげないし」

「言うと思った」

そう言ってため息をつく紀伊の手には両手いっぱいのチョコ。

5、6個はあると思うんですけど?

「そんなに買うの?」

「うん。まず、本命で優でしょー?んでこっちが義理で空斗君とぉー、大地君と青木君と、高木君と、それからー…」

紀伊はちらりと私を見る。
「なに?」

「お子ちゃまには教えませーん」

「」

怒っているのに気づいているのかいないのか、紀伊は私に「んじゃねん」と言ってからレジに向かった。

もうっ大地君とか青木君とか、高木君とか優くんにバラそうとしてケータイを取り出した私に気づいたのか、紀伊が真っ青になって戻ってきた。

まったくっ…