たくさんの話し声が交わる廊下。

そこら中で「ばいばぁい」とか、「一緒に帰ろう」とかいう言葉が聞こえてくる。

「優、帰ろ」

「おう」

俺と優は鞄を持って、下駄箱へ移動した。

「あれ?紀伊たちは?」

俺はふと優に尋ねた。

優と紀伊が付き合ってると知ってから、四人で帰るようになっていた。

「あぁ、今日は二人で帰るって」

「ふーん」と呟いた俺は、心のどこかでほっとしてるんだ。

どんな顔して会ったらいいか、正直分からないから。