…空斗につかまれた右手が、じんじんと赤くなってる。

教室に戻った私は空斗がいないのを確認して、席につく。

…と話しかけてきたのは私の前…、つまり空斗の斜め前の、紀伊だった。

「ねぇ、空斗君ってさー…」

ふいに体がビクッと反応する。
バレたかな!?別れたの…。
「ってチョコ好き?って聞こうとしたんだけど。もうすぐバレンタインじゃんっ!もちろん本命は優だよ☆」

紀伊は言いながら、きゃーと顔を隠す。

確かに今は二月十三日で、バレンタインは明日。

もうそんな季節かぁ~と一人考えている私に紀伊は鋭くツッコミをいれた。

「そこで反応するってことは…空斗君と何かあったでしょっ!?」

さすがです。

さすが小学校一年生からの付き合い。

私の嘘をさらりと見抜いた。

でも、ここで話すわけにはいかない。