~未来~

「…え?」

それはお母さんが言った一言。

あまりに直球であまりにシンプルな言葉。

「空斗と別れて」

さらっと真顔でいうお母さんに怒りをおぼえる。

…私と空斗の関係はそんなに簡単じゃないよ?

小さい頃からずっとずっとすきだったんだもん。

…でもそれを言えない自分が一番腹がたつ。

「そう。でもね、空斗の成績どんどん落ちてきてるのよ」

お母さんはテーブルの上に一枚の紙をおく。

この前の期末テストの結果だ。

そこには1学期8位…

2学期23位と書かれていた。

「これがどういう意味か分かる?」

うつむく私を横目でみながらお母さんは言う。

「あなたにはわかんないかも知れないけど、あのこの夢は医者よ医者になるにはここで成績を下げている場合じゃないのよ。空斗とこのまま付き合って夢を諦めさせるか、空斗と別れて夢を叶えてあげるのか。よく考えなさい」

お母さんはそう言ってふっと笑う。

…私だけ呼んだのはこのためか…。

空斗が起きてたらきっと夢を諦めるっていうだろう。

でもね?

私今までずっと空斗のそばに…

一番近くにいたの。

空斗が医者になるためにどれだけたくさん努力してきたか知ってる。

その理由もー…。

空斗は優しいから。

ごめんね…空斗…。

私…決めたの。

ごめんね…。