~未来~

「お母ー…さん…」

そう呟く私の前には驚いた顔をしてこっちを見ているお母さんがいた。

母さんの目の前には空斗に抱きつく私の姿と私を抱きしめ返している空斗が映っているだろう。

どうしようー…。


外はもう暗く、カーテン越しに見える空には雲一つない。

しんと静まり返ったこの部屋も、物音…いや話し声すら聞こえない。

私の横には空斗。

そしてテーブルをはさんでその向かい側にはお母さんとお父さんがいる。

テーブルの上にはむなしいほど豪華に飾られたケーキやご馳走が置かれていた。
「あのさ…」

と先に口を開いたのは私でもお父さんやお母さんでもなく…

空斗だった。

「俺たち…付き合ってる」
そう静かに言った空斗は眩しいぐらいまっすぐだった。

「何日か前からだけど」

と付け加え空斗はテーブルの下で私の手をぎゅっと握る。

その手から

“大丈夫だから”

と空斗の思いが伝わってきた。

でもお母さんやお父さんの意見は正しいもの。

「なにいってるのあなたたちは姉弟なのよ」

「世間体を考えろ。ダメにきまっ…」

「でも血は繋がってない」
お父さんの声に被せるようにいう空斗。

ごめん…

ごめんね。

空斗。

わかるよ…。

繋がれた右手は微かに震えてる。

空斗も怖いんだ…。

ごめんねー…