~空斗~

“観覧車のてっぺんでキスした二人は結ばれる”ー…。

すれ違った女はそう言った。

それを聞いた瞬間りんごよりも赤くなる未来の頬。

ふーん。

そゆこと。

…観覧車に乗りたいっていった理由って…。

期待…してもいいかな

未来が観覧車に乗りたいっていったのは、“ジンクス”があるからだって。

ぷしゅーと今にも煙が出そうなほど顔を赤くする未来に俺はいたずらっぽくいう。

「行くんだろ」

そう言った後握った未来の手はなんだか熱くて…。

「はぃ…」

うつむいて小さくつぶやき、手を握り返してくる未来がかわいくて…。

俺は残り少ない“理性”をたもてるか不安と戦うことになるー…。


ガコンッと風に揺られる室内。

つまり観覧車の中。

向かいあって座る俺を意識してか、未来は少しうつむいてもじもじしている。

(男と観覧車初めてか…)

そう思うと嬉しくなる。

未来の“初めて”が俺で。
っていってももっと大事な“初めて”はまだだけど。
…って俺も優化してきた…。

静まり返るゴンドラの中は乾いた空気がはりつめられている。

「…あ…の。空斗…」

ふいに未来が小さく俺の名前を呼ぶ。

しかもなんか、微妙に未来の目が潤んでいる気がする。

…ヤバい…

やばい…理性だ俺っ

「キス…して…」

そこはちょうど観覧車のてっぺん。

この時、俺の“理性”という糸がプツンと切れたー…