『私…産みたい…』

 私は気持ち振り絞って言った…

 和は長い沈黙の後…

 『考えさせてくれ…』

 と言った。

 彼は喜んではいない…

 おめでとう…もない…

 二人で考えよう…でもない…

 私と彼の間に…

 深い深い谷間がある気がした…

 絶対に渡れない底も見えない谷底…

 あんなに近かった彼の存在が遠く見える…

 私はたまらなくなり…

 『ごめんね…今日は帰って…』

 とだけつぶやいた…。