【バスケ部】

委員会があるという篠塚さんと図書室で分かれ、僕は部室への道を一人で歩いていた。



この学園はどの部も力を入れて活動している。

その中でも特に功績を残しているのが僕が所属するバスケ部だ。
それゆえ、練習は相当キツイ。入部当時は吐くことも多かったが今は何とかついていけている。…と思う。


しかし、そんな練習を笑顔でこなしていく怪物がここの先輩たち。


僕はそんな怪物を尊敬し少しでも近づけるように日々練習に励んでいる。と言ったら聞こえが良いが実際は先輩に振り回されているだけのこともしばしばだ。


今の部員数は僕を含めて35人。もうすぐ3年の先輩が引退するので実質は25人になる。


強豪校にしては少ないが少人数で一人ひとりをみっちり鍛え上げていくのが我が七丘学園バスケ部のやり方。


だから、交代の回転も速くてアップでさえ息が切れるほどだ。もちろん、そんなのは1年生だけで先輩は汗すらかいてない。もう経験の差とかそんなレベルじゃないと思う。



「おーい、璃人!速く混ざれよー!!」



そう声を張り上げるのはセンターで次期キャプテン候補の春岩先輩だ。

大きな体からは想像できないほど優しく、1年生にも良くしてくれる。…ただ、練習メニューの組み方が人間用に作られないのが怖いところだ。



「すみません!すぐ準備して混ざります!」



「おう!早くしろ!!」



そうどやすのは、ポイントガードの加田先輩である。

身長は僕と同じかそれ以下でパッチリ二重のいわゆる美少女顔を持つ先輩だが、なんと言っても口が悪い。笑顔で「シメる」なんて言ってるのは日常茶飯事だ。



そんなこんなですごくキャラの強い先輩たちに囲まれて毎日にぎやかに部活動を行っている。


まあ、加田先輩の『千本3ポイントシュート』と言う名のご褒美が待っているので声を出さざるを得ないと言うのもある…。