暦はもう十一月。


吹く風は冷たい、防寒着はかかせない季節だ。


私はセーラー服の上に取り出したそれを着た。


人がいなくなった教室の気温も少し下がっていて肌寒さを感じる。



「歌さんは今日も家に一人?」


「んーん、今日は多分日付変わるくらいに想詩くん帰ってくる」


「でも結局それまではひとりじゃん」



そうだけど、慣れてるから大丈夫と言えば、秀真は微妙な顔をした。


私はいつものように、それを見なかったことにする。



私の両親は揃って警察官だ。それも結構な仕事バカで、家を何日も空けることも珍しくない。


年の離れた兄・想詩(そうし)くんも同じ道に進むために勉強中で、帰りは遅い。


私が家で一人になるのは必然で、だけどまあ慣れている。

料理はある程度覚えたから別に困らないし、体調崩したりどうしても一人でいられないとなればお隣さんが快く相手をしてくれるから。


それでも、なぜか、秀真は私が一人で家にいることをあまりよく思っていないようみたいで。


別に何か言うわけではないけれど、今みたいな微妙な顔になる。



なんでだろう、と、思わなくはない。


ただ、聞くほどのことでもないか、とも思う。