あれ、いや、待て。私。
こうして考えてみると、秀真のいいところしか浮かばない。
もしかして、いや、もしかしなくても。
わたし、は、秀真のこと、結構好き、だよね。
(いやいやいやまって。あれ、嘘、まって)
帰り道、秀真に触れられた掌が熱いくらいに熱を持つ。
そこだけまるで、自分の体じゃないかのように。
考えて、みる。
秀真が笑うと、私も笑えた。
秀真が傍にいると、私も安心した。
秀真が怒ってるときは、私も不安になった。
秀真が傍にいることを、何の疑いもなく、受け入れていた。
恋というものに私は無縁だと、思っていたのだけれど、
思い返すとどの記憶にも秀真がいる。
注意深く今までを思い返してみると、
自分がどれだけ秀真を目で追っていたのか、よく分かった。
「なんだ……私秀真のこと好きだったんだ」
