秀真に好きな人がいるなんて知らなかったな。
私ずっとただ一緒にいるだけで、本当に一緒にいるだけだった。
『ずっと好きな人』
誰だろう、きっと私の知らないひとだ。
私と一緒に居るときにそんなそぶり、見せたことなかったから。
……私が気づかなかっただけかもしれないけど。
はあ、と、大きく息を吐く。
「……それなら、言ってくれればよかったのに」
秀真は男の子で、私は女。
もしその人に誤解とかされたらどうするつもりだったんだろう。
私の所為でそんな誤解、嫌だよね。
枕に顔を押し付けて、目を閉じる。
なんだろう、ずきずきする。
胸の奥。いつもと同じ、深い場所。
やっぱり寂しいものだからかなあ、と小さく零す。
秀真に好きな人がいるのなら、すこし離れるべきではないか。
今までは当たり前のように一緒にいたり、くっついたりしてた、わけですが。
相手の人が見たら、面白くは、ないよなあ、と。
思うわけです。
