その答えを、彼女が持っているかもしれない。
聞けば楽になるだろうか。
少なくともどうするべきかは分かる気がする。
でも聞きたくない。
聞いてしまえば何かが壊れるような、そんな不安もある。
聞きたい。
でも聞きたくない。
そんな相反する感情が私の中でせめぎあって何も言えなくなってしまう。
目の前の彼女はそんなことお構いなしに続けた。
「秀真君、『ずっと好きな人がいる』って言ってて。いつも一緒にいるのは赤櫟さんだから、てっきり私、そうなのかと」
彼女はあてが外れた気恥ずかしさを隠すように笑った。
ずっと。
ずっと好きな人がいる。
そんなの私、知らなかった。
誰だろう。いつからなんだろう。
私思ってるより、秀真のこと知らなかったのかな。
「あ……もう行かないと。ごめんね、なんか変なこと言っちゃったみたいで。じゃあ、バイバイ」
「ううん、大丈夫。バイバイ」
彼女は楽器を抱えなおすと足早に廊下を駆けていった。
