「お父さん……」


書き置きを見つめて未だ溢れてくる涙を制服で乱暴に拭きながら呟いた


別に今の生活が苦しいわけではない。実際、紗英の母は弁護士をしていて何不自由のない日々を送っている


ーーーだが、紗英の本当に大事だったものは疾うに失ってしまっていたのだった