「あっ!新田!」
「何……?」
早く帰りたいんだけど…
仕方なく涙を拭って後ろを振り返ると、山下が笑顔で紗英に手招きしている
「何よ」
「俺、新田を連れてきたい所あんだけど!」
ーーー
「す、ごい……」
「だろー?俺だけの超穴場スポットなんだ。試合で負けた時とか、そういう時に一人でよく来る場所」
渋々、自転車の後ろに乗ってやってきたのは小さな丘のような所で、街全体が一望できる場所だった
「へぇ…。山下でも落ち込んだりするんだ。」
「えー。俺のことなんだと思ってんだよー。…てか新田って俺の名前とか知ってくれてたんだな。」
へへ、と嬉しそうに笑う山下に一瞬ドキッとしたような気がしたが、紗英はプイッと顔を背けた

