「なんかごめんな?騒がしい家族で…」
帰り道、隣で自転車を推している山下が恥ずかしそうに言った
「ううん、私は羨ましかった…」
「羨ましいかー?あんなんただの冷やかしじゃんか…」
「そうかな?」
きっと持っている人にはわからないんだな…
何だか悲しくなって、上を向くために紗英は夜空を眺めた
「ん?星見える?」
すると隣で夏生も空を眺め始める
「ううん、見えない…。何にも見えないね…。」
やばい、何でコイツといるときなんかに…
たまに来る、悲しみの波が押し寄せてきて流れそうになる涙を必死に止めて、紗英は山下より先に歩き始めた

