「なにって? うるさいからガムテープで口を塞いだだけよ?」


「ゲーム大丈夫……? ゲームがお酒臭いわ!」


綾は小犬のゲームをお腹に抱え、頭を撫でながら、ゆっくりとガムテープを剥がそうとしている。するとゲームは再び目を開け、前足でもがき始めた。


「今日は猿田先生と一緒に、ご帰宅なのね……いつもは夕飯時に現れるのに、どういう風の吹き回しかしら?」


「勿論、りんさん。貴方が心配だからですよ」


猿田は黄ばんだ歯を見せ、ニヤリと笑った。


昔から何も変わっていない。


人の苦しむ表情と、自らの手の内に収めた時の優越感……それが貴方の好物。