桜井くんの姿が見えなくなったところであたしは家に入った。 「ただいま。」 「おかえり。舞衣。」 そう言ってあたしを迎えてくれたのは、 あたしを支えて育ててくれた2歳上の兄だった。 「舞衣、ご飯出来てる。食べよう。」 あたしは頷き、兄と一緒にリビングに入った。 あたしたちの家族は1年前家庭崩壊した。 母親は男を作って出て行き、 そのあと 父親はあたしと兄を育てられないと言う 手紙を残して消息不明。 それから行きたかった大学も諦め兄は あたしとずっといてくれると言ってくれた。