「待てよ。」




ギュッ




後ろから抱きしめられた。




名前も学年も知らない彼に。




「あの、」



「お前風邪ひく。」




そう言って彼はあたしの首にマフラーを巻いた。




「……ありがとう。」




そう言ってまた歩き始めた。






これが彼との出会いだった。