俺はそう言って宮城の前から立ち去った。
「ちょっと待てよ!桜井っ!」
宮城の声が聞こえていたけど、
俺は背中にそれを受けたまま、
舞衣との思い出の場所へ向かった。
地面の砂がザクザクと音を立てて
俺の後をついてくる。
俺が立ち止まると音も同時に消えた。
「……なんで俺だったんだよ。
誓ったばっかだったんだぞ?」
イチョウの木に両手をつき、そう呟いた。
なんで、なんで、なんで……
「なんで俺なんだよ!!!!」
大きな声でそう叫んだ。
でも、その儚い叫び声は、
桜の花びらと共に、風でかき消された。
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