【完】イチョウ~あたしは幸せでした~









…………





それから蒼が診察室に入って行ってから約20分経った。




そんな時突然大人な低音の声で名前を呼ばれた。



「あの、君が桐谷さんかな?」


「え?あ、はい!桐谷舞衣です!」


「私は、桜井蒼の父です。ありがとう。
病院に行けと言ってくれたのだろう?」



お父さん??


蒼の?


全然似てない……




「あ、はい。大丈夫だって言い張るので、
半ば無理矢理……」




「君には感謝するよ。」




「え?」



「蒼は病院を毛嫌いしていてなかなか行こうとしないんだ。」