【完】白衣とお菓子といたずらと

――グーー


間抜けな音が2人の間に響いた。


……なんで、こんな時に鳴るんだよ。


雰囲気なんてものをぶち壊したのは、俺のお腹から聞こえた音だった。


そういや、昼飯もまともに食べてなかったもんな。お昼の自分の行動を後悔した。





「……ククっ。ハハハハ」




お腹を押さえている俺を見て、最初は我慢していた美沙だったけれど、ついに堪えきれなくなって笑い出した。


「礼央さん、お腹すきましたよね。何かあります?」


冷蔵庫の中身を思い出した。


姉ちゃんが事前に買い物をしてきてくれていたはずだ。ただ、ひとつ問題があったけど。


「それがさ、姉が買ってきてくれてるんだけど、なぜか食材なんだよね。お惣菜かなんか買ってきてくれた方が俺は助かるのに」


意味不明な姉ちゃんの行動に苦笑しかでない。


本当に、どうして食材なんだろうか。しかも、1人分にしては多すぎるくらいの量だった。美沙の訪問を予知していたかのような。


……いや、まさかな。


「冷蔵庫見せてもらっていいですか?よかったら何か作りますけど」


「え?いいの?」


「はい、大丈夫ですよ。料理は、人並みには出来るつもりなので」


「じゃあ、お願いしようかな。簡単に出来るものでいいから」


本当にいいんだろうか。


少し悩んだけれど、彼女の手料理を食べたいという欲求が勝利した。


美沙の申し出に甘えることにした。