一発で長さを調整してしまった彼女は満足気に笑っていた。


そして、そこから歩行練習をさせられた。


平行棒内で歩いたのと、同じ要領で歩くように促されてやってみると案外うまくいった。


けれど、思っていた以上に腕が疲れる。


割と鍛えられているほうだと思っていたけれど、少し練習したくらいで腕がプルプルし始めた。


入院している間に俺の筋力が相当落ちてしまっている事を思い知らされた。






「……もう、今日はやめない?そろそろ腕が限界」


我慢できなくなり、小川さんに訴えた。


「えー、仕方ないですね」


彼女の顔には「まだ」と書いてあったけど、渋々といった表情で了承してくれた。


前々から思っていたけど、小川さんは俺がきついとか痛いとか言うと、嬉しそうな表情をすることがある……いや、やっぱり俺は何も見ていない。


気づきたくない事実から、目を逸らすことにする。