【完】白衣とお菓子といたずらと







「……ちゃんと治るんだよね?」


あまりの動きの悪さに落胆し、すごく不安になった。


「今はまだ動かなくて当然ですよ。実質3週間以上動かしていなかったんですから」


そうだといいんだけどな。


どうしても不安になってしまう。患者さんって、こんな不安を抱えていたんだな。


「治るかどうかは、小川さんの腕次第ってとこ?」


自力ではどうしようもないと感じた。


少しふざけて、けれど半分、いや半分以上本気でそう言うと、彼女はすごく真剣な顔をした。






「私たちセラピストはあくまでお手伝いをするだけです。硬くなっている関節を動くようにして、強化が必要な筋肉を判断して運動提案して、けれどそれを実行して、どう維持改善させていくかは、患者さん次第なんです。だから、山下さんの怪我がどこまで治癒するのかは、山下さん次第です。私も全力でサポートしますから」


何気なく言った一言に、まさかこんな真剣な答えが返ってくるとは思わなかった。


でも、こう言ってもらうと、やる気が沸いてくる。


他力本願ではなくて、自分が努力しなければって。


そして、自分が治してるんだと驕ることのない小川さんに感心すると同時に、信頼していいんだという安心感を覚えた。