【完】白衣とお菓子といたずらと

「本当にすみません。リハの先輩たちが迷惑をおかけしました」


3人が去った後、治療ベッドへと誘導されて、ベッドに上がったとおもったら、彼女が申し訳なさそうに謝ってきた。


彼女が悪いことなんて、ひとつもなかったというのに。


「小川さんが気にする事じゃないよ。あいつらが悪いから」


「あの人たち普段は仕事には真剣なんですけど、時々調子に乗るんですよね」


先輩に対して調子に乗るって……


「……プ…っ」


つい、軽くだけれど噴出してしまった。


「どうかしました?」


俺の反応を不思議がるように、首を捻りながら、彼女は俺の顔を覗き込んできた。


「どっちが先輩か分からないね」


本当に。今のやり取りだけを見ていると、敬語の部分を除けば小川さんのほうがまるで先輩みたいだ。


まだ3年目らしいのに、えらくしっかりしているよな。


「セラとしては尊敬もしますけど、それ以外は……って、さすがに先輩達には言わないで下さいね」


正直すぎる彼女に、さらに笑いが込み上げてきた。


「あぁ、もちろん分かってる」


あー、こういう女の子の自然な感じ俺は好きだな。


男の前ではいい顔して、裏で人の陰口を叩いたりする女は正直苦手。


こうポロっと洩らしてしまう感じが、俺的にはいいんだよな。