【完】白衣とお菓子といたずらと

「意外ですね」


そうにっこりと微笑んだ。


「そうでもないと思うけど。小川さんは?彼氏いるでしょ?」


探りをいれたいという気持ちもあった。


実は彼氏が居るから職員からのアプローチを断り続けてるんじゃないかと考え始めていた。


けれど本心はフリーであって欲しい。どうかいないと言ってくれ。


「……いませんよ」


一瞬悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった。悲しそうな表情はすぐに消えたけど。


彼女の様子に、俺はピンときた。


先ほどから香坂の事を気にしていた。

そして、今の悲しそうな顔。


それらが意味するのは、

小川さんは香坂の事が好きなのだ。


高校時代から知り合いで、昔から突っかかってたと言うし、それは好きだったからではないかと思えてきた。


けれど香坂には現在彼女がいる。その彼女は小川さんが慕っている先輩である井上。きっと彼女は叶うことのない、切ない恋をしているのだ。


……俺に付け入る隙なんて無いじゃないか。


今度は俺が落ち込む番だった。