【完】白衣とお菓子といたずらと

「いや……香坂さんが差し入れ持ってくるなんて事あるんだなと思って」


……そこか。

そういえば、池田や大山の話によると、香坂は嫌われているって話だったな。


「そんなに意外?」


彼女が気にしている点が可笑しくて、クスクスと笑いが漏れた。


「意外というが、ありえないというか。そんな気遣いできる人だったんだなと驚いています」


香坂の奴、ひどい言われようだな。


あいつはこの子の前で、一体何をしてきたのだろうか。


「俺が甘い物たくさん食べれないの知ってるはずなのに、これだけの量買ってくるあたり、ちゃんと気遣えてるかは疑問だけど。一緒に食べてくれる彼女もいない俺に対する嫌がらせかと思ったよ」


本当、気遣いが一歩足りないんだよなーあいつ。


その辺は香坂より池田の方がしっかりしてるもんな。


「……彼女…いないんですか?」


いつもの3人組のことを思い出していると、やっとで聞き取れるほどの声で小川さんが尋ねてきた。


「彼女?ここしばらくいないなー」


彼女がいないなんて言ってしまったもんだから、気遣って拾ってくれたんだろうと思った。