「だったらさ、もうすぐ終業時間でしょ?その後一度おいで。ここで食べて帰ってもいいし、もって帰ってもいいしさ」
俺の何気ない提案に、分かりやすくパッと表情を明るくした。
相当食べたかったらしい。
「いいんですか?迷惑じゃないですか?」
こんな嬉しそうにする彼女を迷惑なんて思うわけがない。
むしろ大歓迎。
「迷惑じゃないからさ、また後からおいで」
「はい。また後からきます」
そう言って、今にもスキップしそうなくらい上機嫌でリハビリ室へと帰っていった。
あんな一面もあるんだな。
彼女の後姿を見ながら、自然と笑みが零れた。
……って、俺今何した?
仕事以外の時間に彼女を誘ったよな?
そして、彼女もそれ承諾した。
まぁー、お菓子に釣られてだけど。
自分の行動を振り返ると、無意識に大胆な事したなと、自分でも感心した。
無意識だったからこそ、出来たことだけど。
時計を見るともうすぐ5時を過ぎようとしていた。
彼女が再び訪れるまで、あと1時間以上あるだろうか。
今更緊張して、鼓動を早くする心臓を落ち着かせようと、俺はベッドに横になった。



