【完】白衣とお菓子といたずらと

見た目だけじゃなくて、美沙が作ってくれた夕飯はとてもおいしかった。


その上ボリュームもあって、疲れた体には調度良かった。


今まで俺が付き合ってきた女性は、こんな風にいかにも家庭的という料理を出来る子はいなかった。どこかで何か違うよなと思いつつ、でも申し訳なくて嫌な顔はしてこなかった。


そんな事の積み重ねが、他の人へ対する優しさと変わらないと言われ振られるという結末に繋がっていたんだけど。


他の女性と比べるのは美沙に対して失礼な事だと思うけど、良い違いしか見つからないのだから、良しとして欲しい。


今まで気にしていない振りをしていたけど、俺の中に結婚願望が強くあるらしいことに気づいた。俺もいい年だしな……


まだ付き合い始めたばかりだというのに、美沙を結婚相手として意識しているらしい。


よくよく考えると、さっきの姉ちゃん達夫婦を見ていて、思い浮かべたのも美沙だった。


けれど、そんな事意識しているのは俺だけで、彼女はまだまだ結婚なんて考えなくていい歳だから、全く考えてもいないだろう。


ゆっくりと時間がかかっても良い。彼女にも俺が彼女を意識するように、彼女も俺を意識してほしい。


こんな感情初めてだ。1人の人に執着して、手に入れたいと強く思ったのは。


そして、彼女の事をもっと知りたい。どんな些細なことでもいいから。