【完】白衣とお菓子といたずらと

「この前も思ったけどさ、美沙って料理上手だよね」


「そう？料理は普段からするから……おしゃれなものは作れないけどね」


「いやいや、十分だよ。今日だってすごく旨そうなのに」


「そう言ってもらえるなら。私が食べたくて、すぐに出来るものを作っちゃいました」


本心から褒めると、美沙は照れたように笑った。


俺の目の前にあるのは、親子丼。


おしゃれな食べ物をちょこっとずづ出されるよりも、男は質より量というかかきこめる様な物を好むと思う。俺もそうだ。


家庭的な料理をこうやってパパっと作ってしまうあたり、普段から料理をしていることがちゃんと伝わってくる。


いや、疑ってるわけじゃないけどさ。良い奥さんというか、お母さんになるんだろうなって、純粋に感じただけだ。


「さっ、食べましょう」


「そうだね、いただきます」


「いただきます」


照れを誤魔化すかのように、俺を差し置いてさっさと食べ始めてしまった。


その様子が可愛いくて、そして可笑しかった。


なんだろう。不思議と美沙といるとこうやって、心が穏やかになるというか、精神が安定するような感じを覚える。