「また、泊まってもいい?」


……マジで?


来てくれるだけで嬉しいのに、まさか美沙から泊まりたいと言われるとは思っていなかった。油断していなかった分、驚きが大きかった。


不安そうに伺う美沙に、ダメなんて俺が言えるはずがない。


彼女はちゃんと分かって言ってるんだよな?


前回彼女が家に来たときは、まだ俺は十分に動けなかった。そして慣れない事ばかり重なっての疲労のせいで睡魔に襲われて、彼女に触れたい欲求を押さえ込む事に成功した。


けれど今回は、明日は訳が違う。仕事をバリバリするにはまだ足りないけれど、日常生活に困らないまでには怪我は回復している。だから、自分の中で膨れていく欲求に勝てる自信がない。


「いいの?」


何に対しての確認なのかは、あえて言わなかった。彼女もきっと分かっているだろう。


「うん、行きたい」


先ほどまで目を合わせては逸らしてを繰り返しながら話をしていた美沙が、しっかりと俺の目を見つめて言った。