がっくりと肩を落としている香坂が気の毒になってきた。


俺が聞いたことを話してもいいだろうか。いや、だめだよな。ますます落ち込ませるだけだろうし。


高校の頃から女癖が悪かったらしい香坂と、それに全く興味のなかった美沙。その美沙に香坂が絡むようになって、いろいろと問題に影で巻き込まれたらしい。それに全く気づいていないところとか、もともとの女癖の悪さとか、何もかもが嫌いで「なんか無理」そう言っていた。


な?そんなこと伝えられるわけ無いだろ。


ただ、仕事への姿勢だけは尊敬できると言っていた。唯一、嫌いじゃない点だと。この話を聞いて、香坂のことを好きなんじゃないかって勘違いしていた自分が、本当にバカバカしくなった。


「俺が言えるのは、今までの行いが悪かったってことかな。俺の事は心配しなくていいからな。俺みたいな、はっきりしないタイプには彼女みたいな子が合ってるって事だよ。白黒はっきりさせたいタイプが。まぁ、そのせいで香坂がそんな目に合ってるんだろうけど」


「それならいいんですけど……」


俺の事を心配してくれているってことは十分伝わってきたし。それが嬉しい。


未だに拗ねている姿も、なぜか少し可愛く見えてきた。


俺はここの病院で、同僚にも恵まれたんだなって改めて感じた。